統計Today No.14

http://www.stat.go.jp/info/today/index.htmからテキストのみコピペです。)


平成22年国勢調査の実施に向けて(1)
−平成22年国勢調査の意義と「実施本部」の発足−

総務省統計局統計調査部国勢統計課長 加藤 耕二

 来年10月1日を期して、「平成22年国勢調査」を実施します。

 総務省では、調査の実施をちょうど1年後に控えた去る10月1日、原口一博総務大臣を本部長とする「平成22年国勢調査実施本部」を発足させました。今後、来年の調査実施に向け、総務省が一丸となって取り組んでいくこととしています。

 現在の国勢を詳明せざれば 政府すなわち施政の便を失う
 過去施政の結果を鑑照せざれば 政府その政策の利弊を知るに由なし

 原口総務大臣が、「平成22年国勢調査実施本部」の発足式において、あいさつの中で紹介された言葉です。

 これは、早稲田大学創立者としても知られる元勲、大隈重信公が、社会経済の実態を明らかにする統計の必要性について、明治14年1881年)に建議した「統計院設置の件」の冒頭で述べた言葉とのことです。

 国勢調査は、日本国内の人及び世帯の実態を明らかにし、各種施策の基礎データとなるものであることから、この言葉は正に国勢調査の意義・役割を凝縮していると思います。

建議「統計院設置の件」

  (注1)この建議「統計院設置の件」は、国立公文書館に所蔵されています。

  (注2)この当時の「国勢」は、人・世帯の実態より広い「国の情勢」の意味で用いられています。


平成22年国勢調査は、これまでの国勢調査にない意義を持っています
 〜人口減少社会における国・地域づくりのための基礎データ〜

 この大隈重信公の言葉は、当時の最重要政策と推測される、明治維新後における“明治という日本の新たな国づくり”のためには、社会経済の実態を詳しくとらえた統計データに基づく施策が必要であることを、強く訴えていることがうかがわれます。

 翻って、今日の日本をみると、人口の構造転換が進み、2005年ころを境目として、日本の歴史の中で初めて、いわゆる「人口減少社会」に入っています。言わば“未知との遭遇”と言えます。この意味で、今日の日本は、「人口減少社会」という過去に経験のない社会経済の下で、明治初期の時代と同様、 “新たな国づくり”が必要な状況にあると思います。

 平成22年国勢調査は、このための様々な施策の基礎データを提供するという、これまでの国勢調査にない重要な意義・役割を持つことになります。

 また、少子化、雇用、地域など、今日の日本が抱える社会経済上の課題に対処していくために欠くことのできないデータを得るものでもあります。

平成22年国勢調査の実施に向けて、総務省の「実施本部」を発足させました
 〜原口総務大臣が、国勢調査の重要性と総務省挙げての取組を表明〜

 このような状況を踏まえ、平成22年国勢調査について、原口総務大臣が率先して、国民に対する調査の重要性・意義や企業・団体等に対する支援の呼び掛けを行うとともに、調査の正確・円滑な実施に向けて、担当部局である統計局を中心に総務省を挙げて取り組むために「平成22年国勢調査実施本部」を発足させました。

平成22年国勢調査実施本部発足式であいさつする原口一博総務大臣

平成22年国勢調査実施本部発足式であいさつする原口一博総務大臣

 原口総務大臣は、発足式のあいさつの中で、平成22年国勢調査の重要性と調査実施上の視点について、次のことを強調されました。

* 国民生活に密接にかかわる国・地方の施策の最も基礎的なデータを提供すること
* 今日の我が国でどのようなことが起きているのか、最新の統計が必要であること
* 国民の理解が不可欠であること
* 地方公共団体との緊密な連携が必要であること

 その上で、国勢調査の大きな意義・役割をしっかり踏まえて、総務省を挙げて全力で取り組み、頑張っていきたいと表明されました。

平成22年国勢調査では、調査方法などの刷新・改善を図ります
 〜個人情報保護意識や生活様式の多様化・変化に即して〜

 平成22年国勢調査は、上に述べたように、人口減少という状況にあっても活力のある国・地域をつくるための基礎データを提供するものです。このため、原口総務大臣のあいさつのとおり、国民の理解と都道府県・市町村との連携の下に、調査を的確に実施することにより、国・地域の実態を正確にとらえた統計データを提供することが必要となります。

 そこで総務省では、平成22年国勢調査について、国民の個人情報保護意識や生活様式・居住形態の多様化・変化などを踏まえ、回答のしやすい調査にすること、調査に対する国民の理解と関係者の支援を得ることなどの基本的な考え方の下に、調査方法を始めとする見直しを行い、前回の平成17年国勢調査と比べ、次のような刷新・改善を図ることとしています。

 調査方法面における主な刷新・改善事項

* 調査票の封入提出方式の全面導入
* 調査票の郵送提出、モデル地域におけるインターネット回答方式の導入
* 調査票の提出方法は世帯が選択
* 国勢調査の照会に対応するコールセンターの開設
* 調査員の身分証明の強化



平成22年国勢調査に対する御支援をよろしくお願いいたします

 総務省統計局では現在、平成22年国勢調査の実施に向けた具体的な準備事務を進めているところです。

 繰り返しになりますが、平成22年国勢調査は、将来の日本の姿を描くために必要な基礎データを得るという、これまでの国勢調査以上に重要な意義・役割を持つこと、また、調査方法等の刷新・改善を図った上で実施することについて、皆様の御理解をいただき、調査への御支援をよろしくお願いいたします。