「センサスは、経済統計や社会統計などを含む国の統計体系の中においても本質的な役割を果たす。」〜センサスの本質的役割2

1.2(b) The census also plays an essential role in all elements of the national statistical system, including the economic and social components. Census statistics are used as benchmarks for statistical compilation or as a sampling frame for sample surveys.*1 Today, the national statistical system of almost every country relies on sample surveys for efficient and reliable data collection. Without the sampling frame derived from the population and housing census, the national statistical system would face difficulties in providing reliable official statistics for use by the Government and the general public;


国勢調査について多く寄せられる意見の一つが、
何故に全数調査でなければならないのか
という疑問です。




全数調査のほうが誤差がなく、精度の高い調査結果が得られる(もちろん、答えるほうが正確に記入するという前提があっての話だけど)、ということは誰もが分かっているものの、標本調査の技術・精度が相当高くなっているこのご時世に、多額の税金をかけ、大量の人員を投入してまで全数調査をやるなんて無意味なんじゃないの!?という意識のほうが勝ってしまっているわけですよね。
事業仕分け人の「国勢調査の意義は低下している」発言は、まさにそうした考えのもとに発せられたものなわけですよ。


しかしながら、それは大きな誤解です。


標本調査を信頼あるものにするためにこそ、
国勢調査は全数調査の必要があるんです!



その理由が、

Census statistics are used as benchmarks for statistical compilation or as a sampling frame for sample surveys.

つまり、国勢調査が、まさに標本調査のためのサンプリングフレームになっているということです。



いくら推計技術が進歩しても、数年ごとにはベースの更新をしないと標本調査も劣化していくばかりです。
つまり、全数調査そのものが消えるということは、そもそもありえない話で、だから国連でも、少なくとも10年ごとにセンサスをやりましょう!と世界中に呼びかけるのです。






全数調査であることの必要性については、大事な点がもう一つあります。
次回はそれについて取り上げたいと思います。



[勧告引用訳*2]

1.2(b)センサスは、経済統計や社会統計などを含む国の統計体系の中においても本質的な役割を果たす。センサス統計は、統計作成の際のベンチマークとして、また標本調査のサンプリングフレームとして利用されている。今日、ほとんどすべての国の統計体系は、効率的かつ信頼できる方法として標本調査に頼っている。人口・住宅センサスによって得られるサンプリングフレームがなくては、国の統計体系は、政府や一般国民に利用され、信頼できる政府統計を提供することが困難となる。

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国勢調査担当者センサスちゃんのつぶやき written by センサスちゃん


*1:太字は当方による装飾です。

*2:http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/pdf/j_census.pdf