国における問題認識1〜調査実施環境面の問題

平成17年国勢調査の終了後、平成22年調査に向けての検討が早速始まりました。
当然、行政機関=実施する立場だけで考えるのは限界も問題もあるので、国ではまず、「国勢調査の実施に関する有識者懇談会」と称する会議で、現状認識の整理と方向性の検討を行いました。


この懇談会は、国勢調査実施日の3か月後となる平成18年1月に立ち上がったもので、

国勢調査をめぐる諸課題について対応策を検討し、国勢調査の調査方法等の改善の基本的な方向を取りまとめること

を目的としていました。




その第1回会合において懇談会に資料として示した国の現状認識を、国が行った分類ごとに紹介します。




まずは、問題点。

  1. 調査員が世帯に会えない
    • 一人住まいの世帯や共働き世帯では、朝早く出かけ、夜遅く帰ってくることが多く、面接ができない
    • オートロックマンションでは、インターフォンで呼び出しても応答がなく、何度行っても面接できない
    • 一人暮らしの女性など、警戒心からか、チャイムを鳴らしても出てくれない
  2. 世帯に会えても協力してくれない
    • 個人情報を提供すると、悪用される心配がある
    • 封入提出しても、調査員が絶対に開封しないかどうか不安である
    • 調査票詐取の報道から、正規の調査員であるかどうか信用できない
    • 調査の必要性が理解できない
    • 調査員が世帯名簿作成のため、世帯に男女別人員を聞くことへの苦情の増加
  3. 聞き取り調査ができない
    • マンションなどでは、隣人について知らない者が多く、聞き取り調査ができない
    • マンションの管理人や管理会社が個人情報保護法を正確に理解しておらず、空き室や空き家の状況を教えてくれない。
    • 管理人や管理会社が、居住者の情報を提供するには、住民やマンション管理組合の了解が必要

そして、こうした問題の背景には次のようなものがあると捉えていました。

  1. 調査員が世帯に会えない
    • 単身世帯・共働き世帯の増加など世帯構成の変化
    • オートロックマンションの増加など居住環境の変化
    • 訪問者への警戒心や防犯意識の高まり
  2. 世帯に会えても協力してくれない
    • 個人情報保護意識の高まり
    • 振り込め詐欺などへの防犯意識の高まり
    • 調査員に対する不信
    • 調査への理解不足
  3. 聞き取り調査ができない

そこで、検討しなければならないとした課題は次のとおりでした。

  1. 調査員が世帯に会えない
    • 不在等の世帯に対する調査票の配布・提出方法の検討
    • マンションの調査に適した調査方法や調査環境の整備
    • 行政情報の活用
    • 調査員と世帯との連絡方法の改善等
  2. 世帯に会えても協力してくれない
    • 調査における個人情報保護対策の一層の強化
    • 調査員への信頼感の確保
    • 国勢調査の意義等についての広報の強化
    • 世帯名簿の作成方法の見直し等
  3. 聞き取り調査ができない
    • マンションの調査に適した調査方法や調査環境の整備
    • 行政情報の活用による調査の効率化
    • 個人情報保護法にかかる正しい理解の普及
    • 管理会社の協力確保等

こうした国の目の付け所についての声、読者の皆さんにぜひぜひお聞きしたいです!



国勢調査の実施に関する有識者懇談会
  http://www.stat.go.jp/info/kenkyu/kokusei/kondan.htm



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国勢調査担当者センサスちゃんのつぶやき written by センサスちゃん