「国勢調査って国でやってるんだよねぇ」

昨日のコミュニティ懇談会の席上で、こんな質問が出ました。

質問:国勢調査は、国がやることを自治体が委託を受けてやってるってことだけど、もし受けないって言ったらどうなるの?

それに対する答えは、こうです。

回答:法令により受託が義務付けられている(法定受託事務と言います)ため、「受けない」という選択肢はない。

この国勢調査については、「国勢調査令(昭和55年4月15日政令第98号)」第16条各項により、受託が義務付けられています。

国勢調査


内閣は、統計法(昭和22年法律第18号)*1第3条第2項、第12条第2項及び第18条の規定に基づき、並びに同法を実施するため、この政令を制定する。
(事務の区分)
第16条  第13条第2項及び第3項並びに前条第1項の規定により都道府県が行うこととされている事務は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする。
2  第7条第3項から第6項まで、第8条第1項、第8条の2第1項及び第2項、第11条、第13条第1項及び第2項並びに前条第2項の規定により市町村が行うこととされている事務は、地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする。

ちなみに、義務の不履行に対する直接の罰則はありません。
しかしながら地方自治法の定めにより、司法に預けられることになっていて、最終的には代執行されることになっています。




ところで、国勢調査(のみならず、行政機関が行う統計調査すべて)における報告義務違反に対する罰則(統計法第61条第1号)がこれまで適用事例がないのに対し、法定受託事務の不履行に対してはおそらくものすごい締め付けがあるものと思われます。
というのも、「国が実施しなければならない」と法律で定められていることを放棄するわけですから、意味合いとしては集団報告義務違反もしくはその幇助と変わらないということで、一人一人が拒むことと比較にならないほど悪質なわけですよ。法律上は。



そんなわけで、センサスちゃんは法定受託事務を拒んだ事例というのを聞いたことはなく、調べてみても見つかりません。
もしそんな事例をご存知の方は教えてくださいm(__)m



あ、ちなみに、法定受託事務というのは国と地方公共団体の間においてのみ発生する業務の受託関係であり、他の法人・私人の間では一切問題にならないことですので、読者の皆さんはご心配なきようm(__)m



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国勢調査担当者センサスちゃんのつぶやき written by センサスちゃん





*1:旧法。新法施行後もこの内容が存続しているのは、統計法が全部改正されたのに対し、国勢調査令が部分改正にとどまったため。